僕は当時、邦楽・洋楽の出会いに感激しっぱなしの少々ませたガキんちょで、同じ音楽好きの友だち連中に「ユーミンは日本のジョニ・ミッチェルだ」と触れ回った記憶がある。「ジョニ・ミッチェルかぁ…あの声が苦手」「曲や歌詞はメチャいいけどなあ」。しかし援護が現れた。ビートルズ仲間の1人が真剣な顔をしてこっちを見返した。「貸して。そのミッチェル」。そのときに貸したジョニ・ミッチェルの74年1月作『Court and Spark』(『コート・アンド・スパーク』) とユーミンの74年10月作『Misslim』を、とっかえひっかえ聴く日が続いた。