COSTELLO & PRESLEY: 2人のエルヴィス。賢者と愚者。
「がんばろう日本」。未曾有の震災から1か月。今やいたるところで見聞きするようになったこの国家的な回復スローガン。その善意の文句・標語が生まれたのと引き換えに別の何かがひっそりと消え去った。発生当初は国民1人1人の自然な…
MORE ⇒
STARTING OVER: ジョン・レノンへの捧げもの。
ジョン・レノン(JOHN LENNON) がNYのダコタ・アパート前で射殺されてから、もう30年になる。犯人である20年+αの無期刑服役囚、マーク・チャップマンの、過去計8回に渡る仮釈放請求はすべて未亡人ヨーコ側の訴えにより棄却された。最も早ければ2017年中に、チャップマンは釈放される可能性がまだある。
MORE ⇒
B. SPRINGSTEEN & BETH ORTON: 2つの<STOLEN CAR>。
ブルース・スプリングスティーン(BRUCE SPRINGSTEEN) の<STOLEN CAR>は、彼にとって最初のNO.1アルバムになった80年の『THE RIVER』に収められていた小品である。その2枚組アルバムの川の流れは、表題曲<THE RIVER>を挟んで二手に分かれていた:「恋愛、結婚のこちら側と向こう側」。<STOLEN
CAR>はそのうちの向こう側の音楽であり、それは、作られた音楽に聴こえなかった。
MORE ⇒
MADONNA: <CHERISH>放課後のスクール・ポップ。
先日ネットFMでサンフランシスコのKSANを聴き流していたら、最新のチャート・ヒットないし5-6年さかのぼった曲に混じってマドンナ(MADONNA) の<CHERISH>がかかった。89年のNO.1アルバム『LIKE A PRAYER』からの3枚目のヒット・シングルである。
MORE ⇒
『CLUB 8』。北欧ドリーム・ポップの冬と春。
1982年に33歳で亡くなったアメリカの革命的ロック評論家レスター・バングズ(LESTER BANGS) が、かつて自分の大好きな音楽ジャンルの先行きを憂いてこう予言していた: 「ポップ・ミュージックは近い将来、部屋のスプレー芳香剤みたいな軽い存在になっていくだろう」。
MORE ⇒
AL GREEN: <BELLE>神さまと救済。
アル・グリーン(AL GREEN) の<BELLE>( 「愛しのベル」) は77年の『THE BELLE ALBUM』から最初にカットされたシングルだったが、決してヒットではなかった (日本では翌78年にこの曲で東京音楽祭に出演し、最高賞のグランプリと新しいファンの両方を獲得した)。
MORE ⇒
NEW ORDER: 『GET READY』のクリスタル。
ニュー・オーダー(NEW ORDER) の傑作カムバック・アルバム『GET
READY』が発売されて10年余りが経過した。2001年アメリカ同時多発テロの直後に出たこの音楽は、実際にはそうでないのに依然としてあの惨事を見越していた音楽のように、録音の時期から見てそうではないのにあの惨事の余波に備えていた数少ないポップ・ミュージックのように今も聴こえる。
MORE ⇒
CHOCOLATとアメリカと<ベースボールとエルビス・プレスリー>。
発売から20年以上が経過しても、1枚のCDが頭にこびりついて離れないことがある。例えばそれはCHOCOLAT(ショコラ)の<ベースボールとエルビス・プレスリー>という曲で、彼女は自分で詞を書いている。この風変わりな題名をもった音楽は、この先の20年もずっと長生きすると思えるのだ。
MORE ⇒
AJICO:『深緑』のカゲロウソング。
AJICOの『深緑』では、あらゆるサウンドが発された途端にくっきりとフォーカスしながら即座に焦点を結ぶ。曲はそれぞれが、生きて息をしている固有の世界から放たれた最終声明であり、その言葉に二言はない。
MORE ⇒
ANDREW GOLD: <LONELY BOY>B級ポップの誇り。
アンドリュー・ゴールド(ANDREW GOLD) の<LONELY BOY>は1977年の春にビルボードのシングル・チャート7位を記録した、彼にとって唯一のトップ10ヒットだった。さらにもっと上位まで行ってもよかったくらい、ラジオで頻繁に耳にしていた記憶がある。
MORE ⇒
PROCOL HARUM: 青い影の彼方。
あるアメリカのロック評論家がパーシー・スレッジ(PERCY SLEDGE) の<WHEN A MAN LOVES A WOMAN>(「男が女を愛する時」) を評してこう書いていた ――
「スレッジはこの曲にマッチしていない。それに、そもそもこの曲には、真にマッチする人間の声がない」。すぐれた音楽は、それが最初に作られた当初の時間と場所を越え、何十年も後方の新しい聴き手に届く。
MORE ⇒
KINKS: <WATERLOO SUNSET>のテリーとジュリー。
いまさらながら、60年代半ばのイギリスには4つの強力なロック・バンドがあった。ビートルズ、ストーンズ、ザ・フーとこのキンクス(KINKS) である。最初のヒット曲<YOU REALLY GOT ME>はその4バンドの当時の楽曲中おそらく最もハードで力強く、またある意味では最も容赦ない、残忍なものでもあった。
MORE ⇒
くるり: <ばらの花>とジンジャー・エール。
「安心なぼくらは / 旅に出ようぜ」。くるりの<ばらの花>で、リード・ヴォーカルの岸田繁が感情の高ぶりを排してそう歌う。彼の実直な声には遠い距離感が、一定の気持ちの隔たりがあり、その声は聴く側であるこっち側のぼくらを振り向かせると同時に、無性に落ち着かなくさせる。
MORE ⇒
Terms of Use, Copyright © 1998-2024 The Art of Listening. All Rights Reserved.
▲ back to TOP ▲