米インディー・ポップの中堅デュオPipasの女性ヴォーカル、ルペ・ヌネス・フェルナンデズとClienteleのアラスデア・マクリーンによる別働ユニット、アモール・ド・ディアズ(Amor de Dias) の2011年処女作『Street of the Love of Days』は、エリック・サティ(Erik Satie) の有名なピアノ曲<ジムノペディ>の変奏である彼らのオリジナル曲<Foxes' Song>(きつねたちの歌) で始まり、かつ、同じその曲で終わる。
「昼も夜も / 昼も夜も」。表題曲<Street of the Love of Days>の中でマクリーンが繰り返す。その曲は自分の脚で立っている音楽というよりも、むしろアルバムの中心部から残りの楽曲全体に先の文句を述べ伝えるためにそこに在るように感じる。聖書の福音を牧師が述べ伝えるように。教会の隅々にまで届くようにアルバムの全体にだ。
マクリーン曲では<Harvest Tie>(収穫の時) が多くを語らんと、白昼の中に午前3時の収穫を求めてさまよい響き、続くフェルナンデズの<Dream>は、歌詞も曲調も米エヴァリー・ブラザーズの1958年No.1ヒット<All I Have to Do Is Dream>を素敵に拝借し、ドリーミーな微笑の返礼を55年越しに贈り返す。
一方<Season of Light>(光の季節) は、デレク&ザ・ドミノズ(Derek & The Dominos) の1970年『Layla』中の最終曲<Thorn Tree in the Garden>のメロディを陽だまりの如くなぞり、人間の昼の景色、現代のポップの人工色を楽しんだ後で、ラファエル前派コーラスへと無事に舞い戻る。